現代日本の結婚事情がよく分かる良作「傲慢と善良」

今回紹介するのは「傲慢と善良」です。

ある日婚約者が失踪してしまう。
それも「ストーカーにおわれている、助けて」という謎の電話を残して、というなんともいわくありげなところから始まる。
果たして婚約者はどこに消えたのか、ストーカーは誰なのか、を探っていくというストーリー!

婚約者の行方を探っていくとそこに意外な真実が明らかになっていく ところが本作の一番の見所。

ネタバレになるので一部だけにとどめるが、二人は実は婚活アプリを通じて 知り合うことが明らかになる。

その婚活アプリの活用の仕方が 何ともリアルなのである。

婚活アプリで知り合った人と何人も会うがどの人とも何かピンとこないという。

アプリを通じて気軽に会えるということが良い反面、実は他にもっといい人がいるのではないかという思いを抱かせてしまうということをピンとこないという表現を使っていることがが非常にリアルである。

それからもう一点。

群馬の結婚相談所に勤める女性 小野里さんとの会話が秀逸である。 「高慢と偏見」という有名な小説があるが 18世紀末から19世紀初頭のイギリスで結婚がうまくいかない理由として「高慢と偏見」であるが、 現代日本で結婚がうまくいかない理由は「傲慢と善良」であると説く。

これが本書のタイトルになっている。

あっ、これ以外にも小野里さんとの会話は非常に含蓄に富んでいるので、是非この部分だけでもみんなには読んでほしい。

本書は、現代日本の結婚事情をよく分かる作品であり、恋愛作品としてもよくできていて、クライマックス部分は感動で涙せずには読めません。