親子のあり方について考えさせられる一冊「朝が来る」

今回紹介するのは「朝が来る」です。

この作品は 不妊治療に悩む 夫婦のリアルを描く。

前半は、子供を授からない夫婦の 妻佐都子が主役。

検査を受け 夫が 無精子症だと告げられ、ショックを受けた夫の様子、

それから精密検査を受け入れ、不妊治療をしていく夫婦の

精神的な苦痛や悩む様子を細かく描いていく。

それから、養子を受け入れる決断をするものの、

血がつながらない子供を受け入れるにあたって、果たして家族になれるのかなど

いろんな葛藤がある中、実際受け入れる赤ちゃんを見た時

心の声として次の一言が 出てくる。

朝が来た、と。

この一言を読んだ時にで震えてしまった。

こんなに短い言葉で心の有り様を適切に表現するなんて。

作家 辻村深月の凄みを感じる一言だ。

そして、次の言葉が続く。

終わりがない、長く暗い夜の底を歩いているような、光のないトンネルを抜けて。

永遠に明けないと思っていた夜が、今、明けた。

この子はうちに、朝を運んできた。

 

ここまででも読み応えがあるのだが、後半がまたすごい。

後半は一転して生みの親、ひかりが主人公となる。

なぜ中学生で妊娠し子どもを生むこととなったのか、

そして、その後の波乱万丈な半生を描かれる。

その詳細はぜひ本書を手にとって読んでほしいのだが、

一点だけ触れるとしたら、母親との不和である。

「あなたのためを思って、」と言っていろいろなことをするが、

それは自分のためというのが見透かされ、衝突が多くなり、

最終的にはひかりは家出することになる。

血のつながった親子にもかかわらず、互いの気持ちが触れ合わず、

すれ違ってしまうところはいろいろと考えさせられる。

 

あと、実際に中学生の娘を持つ親としては、自分の娘が妊娠したと

言われたら一体どんな対応をとるだろうか、みたいなことを考えてしまった。

パニクるのは間違いないでしょうね。

 

親子とはなにか?について考えさせられる一冊。