赤い月(なかにし礼)について。波子の強烈な生き方を見よ!

なかにし礼は、言わずと知れた昭和の名作詞家。 作詞家だけあって、文章がうまい。思わず引き込まれます。 あと、表紙が常盤貴子。好きだったなぁ。

赤い月は以前書いた「兄弟」へとつながる話。 赤い月は戦前から戦中、兄弟は戦後の話です。 両方とも家族を題材にしていることは代わりはないですけどね。 兄弟については別に触れていますのでそちらもどうぞ。 [blogcard url=”https://sakamoto75.work/book/?p=111″ ]

あらすじ

舞台は戦争末期の満州、牡丹江。 なかにし礼の家族をモデルにした森田家。 夫の勇太郎が、新京に出張中にソ連の侵攻を受ける。 その中で娘の美咲と幼い公平を連れて妻波子が 逃げていくところから話が始まる。

力強い女性である波子を中心とした森田家の 満州での栄華と没落と逃避行を描く。

みどころ

なんといっても、本書は波子です。 波子の強烈な個性。これがこの小説のみどころです。

母親としての力強さ

母親としては力強く、数々の困難を乗り越えます。

また、子供達を守るため、子供達に言うセリフが強烈で力強いんです。

まずは、家から出る際に、父親が帰るまで出ないと言いはる娘に対して言ったセリフ!

 

子供を持つ母親にとってはね、この世にいいも悪いもないんだわ。 卑怯も非人情もないの。子供を守るためだったら、母さん、鬼にだって畜生にだってなってみせるわ。人殺しだって泥棒だってやってみせるわ。善悪を気にして子供を死なせてしまったのでは元も子もないじゃないの。母親とは、どんな罪をかぶってでも生かそうとして戦うものよ。

この後、娘を無理やり連れて行きます。うーん、すごいの一言。

さらに、判断ミスで公平をソ連の戦闘機に殺されそうになりながら、なんとか生きながらえた時の一言もすごいんです。

 

公平、許しておくれ、母さん間違ってたわ。でもね、これからも、こんなことはなんどもあると思うわ。公平は、母さんの言うことだって信じてはいけないよ。自分で逃げるのよ。自分で生きるのよ。

公平は小学生なんですよ。とても小学生に言うセリフじゃないですね。

女としては魔性

女性としては、波子は周りの男を翻弄します。 軍人の大杉からプロポーズを受け、一旦はその気になるも、軍人の妻である姿が思い浮かばないと、森田勇太郎を選ぶ。 しかし、大杉はその後独身を通し、満州に森田家が出てきた時に陰ながら支えるんです。 いやぁ、まさしく魔性の女。

驚いたこと

森田家は関東軍御用達の造り酒屋として栄華を極めるんです。 波子は贅沢の限りを尽くすが、その中でも印象的なのが歌舞伎を見るためだけに、飛行機をチャーターし、歌舞伎座で歌舞伎をみにいったくだりは驚いた。 こんなことをしていたとは驚きでした。

まとめ

波子の強烈な生き方はビリビリ感じるものがあります。

また、戦争の悲惨さを知る意味でも本書は良い教科書。

とにかく、満州を引き揚げる様子は悲惨の一言。

そういう意味で本書は読む価値ありです。

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